10WILLロゴ
blog

ブログ

blog
転機を迎えた人のお話
20250811 vol.33  10WILL代表 丹原  今年は、毎週月曜日にブログを掲載して参ります。


50代の「転機」を迎えた方に出逢いました。

まだ在職中で、将来を考えると遅くに出来たお子さんのために少しでも長く働けたらとお考えみたいですが、どうしても今後について仕事上、体力的

なことが一番辛いみたいで悩んでおられました。そんなある日、渡りに船の話が舞い込んで来ました。知人から好条件の転職の話でした。

人は辛く思っている時にそんな話が舞い込んでくると、どうしても天からの恵のごとく飛びつきたくなるものです。しかしその会社を知る他の人は、

その人には合わないと感じていたみたいで、話を聴いてみると「仕事内容」については、現時点では問題がないとのことでしたが、「人間関係」的に

合わないということを思っておられたみたいです。

まさに「キャリア相談」ネタです。 でも、相談が発生しない……

なぜか?

それは、ご本人の頭の中ですでにその話が(給与面において)好条件であり、自分にとってはこの上ない転職先と思い込んでいるからです。

もちろん、とても魅力的な話ではあると思います。ただ、それとご本人に合う求人であるかは違うということです。

まず「仕事理解」の観点から考えると、現在の会社は大企業でありその求人は中小企業で、一人当たりの生産性が大きく違うということです。どうい

うことかと申しますと、大企業は仕事がセグメントされていて仕事の役割分担がはっきりしているということです。それに比べて、中小企業は一人当

たりの生産性が低いゆえに、複数のことをこなさないといけないので、グレーゾーンが多いということです。「えーこの仕事もしなければならないの

ですか?」なんて言う社員は、極端に言えば「いらない」社員なわけです。なんでも世の中のために、会社のために、まわりの社員のためにと思って

笑顔で働く社員こそが、重用されて自ずと活躍することになるという話です。ご本人は、現在の会社で専門職でそれなりにご活躍はされておられます

が、どちらかと言うとセグラメント(仕事の役割を明確に)した働き方が合っていると思われました。ところが、今話の上がっている会社では、グレ

ーゾーンの不明確な仕事もこなさなければならない可能性があり、これを断ることが難しいという話です。ここに人間関係の難しさがあり、ここに人

間関係が難しく、ご本人には合わないと他の方が思っているところです。

先ほども言いましたが、ご本人はもう思い込みが発生しているので、正直なかなか話の受け止め方が冷静になれていないようでした。


「キャリア相談」は傾聴がすべてと常々お話していますが、相談者がキャリアコンサルタントに相談ごとを聴いてもらった後に、今度はこちらとやり

取りをしていただけるか、要は会話が出来るかはわからないのも事実です。相談者の思い込みで受け止められてしまうこともあるからです。

だから相談者の語る言葉を用いて語らなければ、気づきや内省を相談者に起こすことはあり得ないのです。


今回のケースは、ご本人の思い込みが発生している求人がなくならない限り本当に相談しようとは、残念ながら起こらないでしょう。

もしでは相談してみようとなっても、プライドなどご本人の自我が強すぎれば相談には時間がかかることと思います。

「仕事に関する内容」についての話は、会社側と求職者で合意すれど、「人間関係」についての話を腹落ち(単に頭で理解するだけではなく、心から

納得し、自分のこととして受け入れること)することは、本当に難しいと思います。だから、仕事の悩みは大半が人間関係が原因になるのでしょうね

つくづく上手く行かないとはどういうことかを考えさせられました。